鼠径ヘルニアが発症する仕組みとお腹のヘルニアの種類
鼠径ヘルニアが起きる仕組み
内臓が収まっているお腹の中は丈夫な筋膜で包まれています。この筋膜には、神経や血管などが通る通している小さな穴が空いています。
日常生活において、重い物を持ち上げたり、過激な運動をしてお腹の内側から強い圧力がかかった時に、何らかの要因で生じた筋膜の穴や裂け目から、腸などの内臓が外に押し出されるのが鼠径ヘルニアです。
初期の鼠径ヘルニアは押し込むと元に戻りますが、洋服のほころびが徐々に大きくなるのと同様に、筋膜の裂け目は次第に大きくなり、腸の飛び出しも大きくなります。
進行すると飛び出た腸が元に戻らなくなり、腸閉塞を併発することもあります。
さらに戻らなくなった腸の血の巡りが悪くなると腸の組織が腐ってしまい、腹膜炎を併発して緊急手術で腸を切除する大掛かりな治療になってしまうこともあります。
鼠径ヘルニアはたかが脱腸と甘くみると大変なことになる病気なのです。
お腹のヘルニアの種類
お腹のヘルニアにはいくつかの種類がありますので、それをご紹介します。
・鼠径ヘルニア
お腹のヘルニアで最も多いのが鼠径ヘルニアです。いわゆる脱腸といわれるものです。足の付け根のから恥骨そばの部分の筋膜が裂けて腸などの組織が飛び出します。
・大腿ヘルニア
大腿ヘルニアは足の付け根の血管が通る穴の横から組織が飛び出すヘルニアです。鼠径ヘルニアと比べて太ももに近いところが膨らむのが特徴的な症状です。鼠径ヘルニアは中高年の男性がなりやすいものですが、大腿ヘルニアは中高年のやせた女性に多い病気です。ヘルニアの穴で腸が締め付けられ腹膜炎を起こすことがあります。
・臍ヘルニア
臍ヘルニアは、デベソのようにおへそが飛び出すのが特徴的な症状のヘルニアです。
おへその下の筋膜が裂けてそこから組織が飛び出してしまうものです。
腹圧が急激に変化する出産後の女性や、腹水や肥満により腹圧が上昇してしまった人などが発症しやすい傾向があります。
・瘢痕ヘルニア
瘢痕ヘルニアは手術などでできた傷から組織が飛び出してしまうヘルニアです。
通常、手術の最後には筋膜をしっかり縫合してお腹を閉じるものですが、縫合の仕方が悪かったり、筋膜自体が弱かったりすると筋膜に弱い部分ができてそこが脱腸の原因になります。
下肢静脈瘤のその他の治療方法。保存療法、硬化療法、高位結紮手術とは?
前回は下肢静脈瘤を治療する主な方法(レーザー手術とラジオ波手術)を紹介しましたが、今回はその他の治療方法をご紹介します。
現在はこれらの治療方法は症状に応じて必要な場合に実施していますが、下肢静脈瘤のことをきちんと把握して頂きたいと思いますので記載したいと思います。
保存的治療
保存的治療は、手術などの処置をしない方法です。
主に弾性ストッキングの着用や日常生活の工夫によって下肢静脈瘤を悪化させないようにするものです。
弾性ストッキングは医療用のもので通常のストッキングに比べると締め付けがきつくできているため、足を圧迫し足に血液がたまるのを防ぐ狙いがあります。長さなどの違いでいくつかの種類があります。
薬局などでも類似のストッキングが販売されていますが、医療用と比べるとやや締め付けが弱い傾向にあるようです。医院で購入して頂く場合は保険が適応されませんので、5,000円〜10,000円程度の費用がかかります。
日常生活においては、長時間の立ち仕事は控える、定期的に足を心臓より高くして休憩する、定期的に歩き回るなど、血液が足にたまらないように意識して生活すると良いかと思います。
硬化療法
硬化療法とは、静脈に硬化剤(血液を固める薬)を注入し、静脈瘤がある静脈を硬化させることで静脈瘤を消してしまう治療です。1840年代頃から硬化療法は始められたと言われており、多くの研究や治療により進歩してきた安全な治療方法です。弁が壊れた不要な静脈を硬化させるので問題はありません。
注射だけで済むため患者様にとっては負担の少ない治療ですが、本幹に逆流を認める大きな伏在静脈瘤に対しては再発する可能性が考えられる治療方法ですので、当院では分枝静脈瘤、網目状静脈瘤、クモの巣状静脈瘤など逆流のない限局した静脈瘤に用いています。
現在の症状に適しているかどうかは医師に相談するようにしましょう。
高位結紮手術(こういけっさつ)
血液の逆流をなくすために弁が壊れた静脈の高い方の根元(太ももや膝裏)で血管を縛ってしまう治療方法です。
血管を縛るために足の付け根や膝裏を数cmほど切開する必要があります。
手術は切開する場所の局所麻酔で行います。
この治療方法のみでは、根本的な治療にはならないので、硬化療法などと併用して行われるのが一般的になっています。
ストリッピング手術
静脈弁が壊れて血液が逆流する伏在静脈そのものを引き抜く手術法で、再発が少なく、レーザー手術が普及する前までは最も一般的な根治手術でした。からだに負担がかかるので約1週間の入院が必要です。血管を引き抜くため、周囲の障害から痛み、皮下出血、神経障害などの後遺症が残ることがあります。
以上です。
どの治療方法が適しているかは症状によって異なります。
当院では患者様のご要望をお聞きしながら最善の治療方法をご案内しますので、お気軽にご相談ください。
下肢静脈瘤の治療に使用するレーザーと高周波(ラジオ波)について
下肢静脈瘤の治療にはいくつかの方法がありますが、当院では「レーザー手術」と高周波(ラジオ波)手術を推奨しています。
他の治療方法に比べてこの2つの治療法は、”痛みが少ない””傷があまり残らない””保険適応”という患者様にとってメリットが多い治療方法です。
では、この2つの治療はどのようなものなのかを詳しくみていきたいと思います。
レーザー手術の機器はELVeSレーザーと言います
レーザーを使用して行う手術を下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術と言います。
これは、機能しなくなった静脈弁がある静脈内にレーザー光を照射して、収縮及び閉塞させることで、静脈の逆流を止める方法です。
ELVeSレーザーは患者様に対する低侵襲治療(できるだけ患者様の体を傷つけない)ということを重視し開発されたレーザーです。
■レーザー照射による焼灼のメカニズム
1、レーザー光が直接的に静脈壁の水分に吸収されて熱化
2、レーザーエネルギーを360度2ヶ所から血管壁に照射、静脈壁を均一に焼灼
3、50℃で静脈壁のコラーゲン繊維収縮が始まり70℃〜100℃で壊死
4、静脈壁の収縮と肥厚により血管内腔が縮小し、静脈逆流を止める
このレーザーを使用するにあたって日本静脈学会、日本脈管学会、日本血管外科学会、日本インターベンショナルラジオロジー学会、日本皮膚科学会および日本形成外科学会にて構成される血管内焼灼術実施・管理委員会にて策定された「下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準」による実施施設及び実施医認定の取得をクリアしている必要があり、当院はその基準を満たした施設になっています。
高周波(ラジオ波)は医療分野で広く使われている電磁波の一種です
ラジオ波は300kHzから6MHzの高周波を使用して、100℃前後の熱を発生させることで各種治療に使用されている電磁波です。
下肢静脈瘤の手術で使用する機器は460kHzの高周波を発生させ、レーザー手術と同じように静脈壁を焼灼する方法になります。
このシステムを使用することで、「周囲組織が傷つかない」「静脈壁を均一に焼灼できる」「時間的に早く処置できる」という特徴があります。
これらのレーザー手術と高周波(ラジオ波)手術は、手術方法はほぼ同じ仕組みです。
まずは医師の診察を受けて治療方法を相談するようにしましょう。
当院でもご質問をお受けしていますのでお気軽にお問い合わせください。
下肢静脈瘤を放置するとどうなるのか?
今回は下肢静脈瘤を放置した場合にどのように悪化していくのかを説明したいと思います。
下肢静脈瘤とは血液が足先から心臓に戻る際に逆流しないように逆流防止弁が血管に付いていますが、それが機能しなくなることで血液が逆流し下肢に溜まってしまう病気です。
下肢に溜まってしまう血液は「静脈」です。
血液には動脈血と静脈血と二種類あります。下肢静脈瘤で足に停滞する血液は静脈です。
静脈は全身に酸素を供給した後の、二酸化炭素を多く含んだ血液です。
動脈血に比べると黒ずんだ赤色をしています。
コブができるようになります。
逆流防止弁が壊れると血液がどんどん溜まっていき、血管への圧力が増加していきます。そうなると血管が膨らみはじめ、これがコブとして見られるようになります。
この状態で放置すると血液の停滞が進みコブが大きくなっていきます。
その後、色素沈着が見られるようになります。
血管はどこまでも膨らむわけではなく、ある程度膨らむと血管の小さな穴から血液が漏れ出します。
それが皮下脂肪に沈着し、鉄分の成分があるためサビのような色がつきます。
これが色素沈着です。
また、溜まっている血液は酸素が少ない静脈血のため、下肢が酸欠状態になり、疲れやだるさをより感じるようになります。
酸欠が進むと足が黒く硬くなります。
より酸欠が進んでいくと血液の鉄分が固まり皮膚脂肪硬化症という病気になる可能性があります。
皮膚が黒く硬くなり、徐々に範囲も広がっていきます。
触っただけでも痛みを生ずるようになり、歩くこともままならず寝たきりになってしまったり、これが原因で感染症を引き起こすような場合には、さらに重篤化することもあります。
早期に検査を行いましょう。
足の血管のボコボコが気になったら放置せずに早めに検査を受けることをオススメします。
血管がボコボコしている状態の症状であれば、レーザー治療で短時間できれいに治療することができるからです。
立ち仕事が多い方や妊娠の影響などでどなたにも発症する可能性のある下肢静脈瘤ですので、安心してお気軽にご相談ください。
子供の手汗・多汗症について
今回は子供の手汗・多汗症について書いてみたいと思います。
多汗症は、交感神経が過剰に作用して、手、わき、足裏から多量に発汗する病気です.親子や兄弟で体質が似るように、家族で同じ症状が約3割に見られます。
多汗症の症状は3歳ごろから始まります。大人だけの病気ではありません。
テストのときなど、精神的な緊張が高まるとさらに交感神経が過剰に作用し、手から汗が流れ落ちるようになります。
日常においてのチェックポイント
子供に以下のようなことがあった場合は手掌多汗症を疑われても良いかと思います。
・お絵かきなどをしているときに紙が濡れる、シワシワになる
汗によって紙が濡れて文字がにじんだり、紙が破けてしまう場合は汗の量が非常に多いと考えられます。
・手の皮がむける
手の汗によって手のひらの皮が頻繁にむけます。特に季節の変わり目に多くみられるようです。
・手のひらに湿疹ができる
汗が原因で、汗疱、いわゆる「あせも」ができやすくなります。
・手袋の使用を嫌がる
汗によって手袋の中が濡れてしまい気持ち悪いため手袋などの着用を嫌がります。
・ピアノの鍵盤が濡れる、テレビゲームのコントローラーが濡れる、など。
学童時期や中学生の手汗・多汗症は、テストの答案用紙が濡れてしまったり、友達とトランプをするとカードが汚れてしまったり、フォークダンスで手を繋ぐのを嫌がられたりと、様々な面で悪影響が出てきます。
そうしたことが原因で、学校でからかわれたりすることで精神的な苦痛を感じてしまい、学校に行きにくくなったり、人と接するのが怖くなってしまうなどの影響が出ることも考えられますので、早い時期に専門機関を受診することをお勧めします。
汗を緩和する方法として、制汗剤の使用がよく紹介されています。
制汗剤で少し手が荒れたりすることもありますが、まずは制汗剤で様子を見ることが良いかと思います。
当院では、手掌多汗症の手術は原則として中学生以上を対象にしています。
しかし、手汗が原因でいじめを受けたり、劣等感が強いなど、どうしても早期に治療を希望される場合は小学生でも手術を行うことがあります。当院ではこれまでに約50人の小学生(最年少は8歳)多汗症手術の実績があります。
手汗・多汗症の根本的治療は?手汗はうつる?男女差はある?
手掌多汗症の治療
手汗を改善するために、様々な生活上の工夫や外用薬などの情報がありますが、根本的に治すためには手術が必要になります。
手術は交感神経遮断術と呼ばれ、脇の下の皮膚を数ミリ切開し、内視鏡と電気メスを使用して交感神経を切除するという手術です。
この手術には副作用が出ることがあります。
特に代償性発汗という副作用に注意が必要です。
手術時に切除する交感神経の場所によっては、手汗だけではなく、顔や頭の汗を止めることにもなります。汗には熱を発汗させて体温を下げるという役割があるため、夏場の暑い時期などに頭や顔から発汗できないと体温調節がうまくいかないため、他の部位の汗を増やすように脳が指示を出し、胸や背中やお尻などの部位の汗がこれまでより増えることになります。 これが「代償性発汗」と呼ばれているものです。
代償性発汗を最小限に抑えた手術方法
当院では、5000例以上の手術実績から以下のことがわかっています。
第2交感神経(Th2)の遮断では,てのひらや顔の汗がまったくでなくなり、代償性発汗が高度です。第2交感神経は遮断すべきではありません。
第3交感神経(Th3)の遮断では、てのひらの汗が完全にでなくなる一方、代償性発汗が多く出ることもあります。
第4交感神経(Th4)の遮断では、てのひらの過剰発汗が停止し、代償性発汗の程度も軽度(~中程度)です。
これらのことから、当院では、第4交感神経を切除する低位交感神経遮断術という手術を行っています。副作用を100%の確率で回避することはできませんが、最小限に抑えることができると考えています。
手汗はうつるのか?
手掌多汗症の人と握手などで接触するとうつるのではないかと心配される方がいらっしゃいますが、手掌多汗症は皮膚の接触ではうつりません。
発症する原因は定かになってはいませんが、精神的な要因が大きく関わっているという見方がされています。皮膚の疾患ではありませんので感染することはありません。
発症するのに男女差はあるのか?
来院される方は女性の方が多いですが、それは女性の方が手汗で悩まれ改善したいという方が多いということもあり、手掌多汗症患者様の男女比率の正確な情報はわかりません。
しかしながら、男性特有、女性特有の身体の違いが影響しているとは考えられていないため、男女ともに発症する病気と考えられます。
手汗・多汗症と更年期障害の関係!自律神経の乱れが原因?
手掌多汗症ははっきりとした原因が分かっていない病気ですが、自律神経の異常や他の病気が原因となって発症する可能性があるといわれています。 その中でも、多くの方が悩んでおられる病気である「更年期障害」との関係について紹介したいと思います。
更年期障害とは
一般的に「更年期」とは、閉経を挟んだ前後の約10年間の期間を指しており、日本の女性でいうと45歳〜55歳が更年期といわれる期間です。
この期間には、身体の不調が起きやすく以下のようなものがあげられます。
・身体がだるく疲れやすい
・たちくらみやのぼせ、ほてり感がある
・手足の冷え、しびれ、痛み
・腰痛や肩こりなど身体の痛み
・耳鳴り
・動悸
・身体のかゆみ
・頭痛やめまい
・常にイライラする
・よくわからない不安感
・不眠
このような症状が起こるのは、身体の機能を調節している自律神経の乱れが主な要因になっています。
そしてその自律神経の乱れによって、手汗やその他の部位の多汗症が発症する可能性があるということです。
更年期障害は若い人にも該当します
最近では、30代〜40代半ばの方でも更年期障害になる方が急増しています。 これを「若年性更年期障害」と一般的には呼んでいます。 原因として考えられるのは、仕事などのストレスや過度なダイエット、不規則な生活、偏った食事などがあげられます。 更年期障害と同じような症状が見られるようになります。
更年期障害は女性だけの病気ではありません
更年期障害は女性特有の病気というイメージが強かったですが、最近では男性の更年期障害も注目を浴び、テレビなどでも紹介されるようになっています。
男性の更年期障害は、男性ホルモンの減少が影響しており、加齢とともに男性ホルモンが減少することで、集中力ややる気の減退、うつ症状、性力減退、身体の痛み、心筋梗塞や脳梗塞リスクの上昇などの症状があらわれます。 その中で、突然の発汗などの症状も発症するとされています。
このように、更年期障害は手汗やその他の多汗症の原因になる可能性のある病気であり、中高年の女性だけではなく、若い女性や男性まで関係のある病気になってきています。
ご自身の身体のことで少しでも気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
胆嚢がんとは?原因や症状、検査方法について!
当院では胆石症の手術を行っておりますが、胆石症の合併症で胆嚢がんが発症することがあります。
合併率は数%とわずかではありますが、どのような病気なのかを知っておくことは大切かと思いますので、胆嚢がんについて紹介したいと思います。
胆嚢がんとは
胆嚢や胆嚢管にできる悪性腫瘍を胆嚢がんといいます。 また、胆嚢がん、胆管がん、乳頭部がんをあわせて胆道がんと呼びます。 胆嚢がんは比較的女性に多い病気であり、加齢により発生率は上昇します。統計では70代が最も多いといわれています。
原因は?
考えられる原因の一つに、膵胆管合流異常があります。
胆管と膵管の合流地点に異常がある場合、刺激の強い膵液が胆管に常時逆流し胆嚢に溜まることで胆嚢がんができることがあります。
また、胆管に炎症を起こす原発性硬化性胆管炎という病気は胆嚢がんを合併します。 胆石症の患者様で慢性胆嚢炎の状態が長く続くと胆嚢がんが発生することがあります。
胆石症の胆嚢がん合併率は加齢に伴い増加し、80歳以上では1~2%以上といわれています。
症状は?
胆嚢がんが胆嚢内にあるうちは無症状のことが多いとされています。 検診の腹部超音波(エコー)検査や胆石症による胆嚢摘出術で、偶然発見されることがあるくらいです。 胆嚢がんは進行するにつれて以下のような症状がでてきます。
・腹痛
みぞおちや右脇腹に痛みが出ることがあります。
・嘔吐、体重減少など
・黄疸
がんが進行してくると黄疸の症状が出ることもあります。 自分で自覚することは難しい場合が多く、以下のようなことで発見されることが多いです。
・白色便
胆汁が腸内に流れてこなくなると便の色が白っぽいクリーム色になります。
・黄疸尿
血液中のビリルビン濃度が高くなると、尿の色が茶色っぽく、濃くなります。
・かゆみ
黄疸が出ると皮膚のかゆみも同時にあらわれることがあります。
胆嚢がんの検査
胆嚢がんを見つける際は以下の検査方法があります。
・超音波検査
胆嚢がんの初期の検査として一般的です。
・血液検査
血中のビリルビンやアルカリホスファターゼ(ALP)の数値が高くなり、異常が発見されます。
・CT、MRI検査
超音波検査で胆嚢がよく見えないときや、胆嚢に何らかの異常が疑われるときにCT検査を行います。
・血管造影検査
がんが肝臓の動脈や門脈に広がっていないかどうかを調べる際は血管造影が行われます。
言うまでもありませんが、早期発見・早期治療が非常に大切です。
ご不明な点がありましたら当院にお問い合わせください。
腹腔鏡下胆嚢摘出術の特徴!日帰り手術の痛みや術後の合併症は?
当院では胆石症の治療において、従来の開腹手術に代わり、腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っています。
今回はこの腹腔鏡下胆嚢摘出術について詳しく書いていきたいと思います。
手術の概要
腹腔鏡下手術とは、お腹に細長いカメラ(腹腔鏡)を入れて、内部の様子をモニターで見ながら手術を行うものです。
細長い鉗子や電気メス、超音波凝固切開装置などを用います。この手術は1900年初頭に欧米で始まったとされています。
その後、様々な改良が加えられ現在では一般的な手術方法になっています。
当院では10mmの腹腔鏡を使用します。手術時間は平均30分ほどで手術は終了します。
※腹腔鏡下胆嚢摘出術は全身麻酔が必要となりますので、90歳以上などの超高齢の方、心臓、呼吸器が悪い方など実施できない場合があります。
詳しくはお問合わせください。
手術の特徴
この手術は、従来の開腹手術のように大きな切開は必要なく、3~10mmの穴を4箇所あけるだけということが大きな特徴といえます。それにより、傷が小さく済むため美容上優れているといえます。また、傷が小さく済むため痛みも軽減されます。
日本では10日前後の入院が一般的ですが、当院では日帰りで手術を受けることができます。 術後は2~3時間で歩行を開始し、術後4~6時間で退院できます。
当院では、尿道や鼻に管を通すこともありません。 当日夕方から軽い食事もでき、通常は手術から3~4日後に職場復帰が可能という点も優れている点かと思います。 また、入院しなくて済む分、経済的にもメリットがあります。
術後の注意点は?
手術後のキズは特殊な生体用接着剤または外科用テープで固定しますので、術後の消毒や抜糸の必要はありません。手術翌日からシャワー、翌々日から入浴可能で、キズ跡も約半年~1年でほとんど目立たなくなります。 また、手術後の生活はほとんど変わることはありません。
食事も脂肪分の多い食事には多少の注意が必要ですが、手術前の食事内容で問題ないと考えられます。
食事についてはこちらも参考にしてください。
(https://www.oda-clinic.com/blog/2016/12/post-16-375743.html)
後遺症や合併症に関しては、日本消化器病学会の「胆石症診療ガイドライン」のデータからみると胆嚢摘出術は後遺症や合併症のリスクの低い手術といえます。
手術の費用について
当院での胆石症、胆嚢ポリ-プの手術費用は健康保険3割負担の患者様で約10万円です(高額医療の限度額を越した差額分は後で返金されます)。
通常の入院費用がかからない分、経済的には節約できます。
クレジットカードでのお支払いも可能です。 生命保険の手術給付金の対象にもなりますのでご不明な点がありましたらご相談ください。
胆石と食事の注意!アルコールや甘いものや塩分やコーヒーは?
成人の10人に一人が持っているといわれる胆石。胆石症でお悩みの方も多くいらっしゃると思いますし、胆石かどうかまだ分からずご不安な気持ちでおられる方もいると思います。
胆石を予防または進行させないようにするには、普段の食事内容がとても大切です。
今回は、胆石と食事について掲載していきたいと思います。
脂肪分の高い食事は良くなさそうなイメージはみなさん持たれていますが、アルコールや甘いもの、塩分量やコーヒーなどの関係もみてみたいと思います。
胆石の主な原因はコレステロール
前回の内容で胆石は「コレステロール結石」「ビリルビン結石」「黒色石」の3種類に大別でき、割合でいうとコレステロール結石が全体の7割~8割ということを書かせて頂きました。
このデータからも分かるように、胆石の主な原因はコレステロールになります。
では、コレステロールを過剰に増やさないためにはどのような食事の注意をすれば良いのでしょうか?
コレステロールとは?
まずコレステロールとは何かというと、細胞の膜を生成する要素であり、ビタミンDの合成を助けるなどの働きをする身体には欠かせない脂質のことです。
種類はLDLコレステロール(悪玉)とHDLコレステロール(善玉)があります。
・LDLコレステロール(悪玉)の働き
肝臓で合成されたコレステロールを血流にのって全身に運ぶ役割
・HDLコレステロール(善玉)の働き
身体に余分なコレステロールを回収し肝臓に戻す役割
アルコールとコレステロール
適量(少量)のアルコールは、善玉コレステロールを増やすことにつながるといわれています。適量というのはビールでは1日中瓶1本、日本酒なら1合、ウイスキーはダブルで1杯程度です。お酒が百薬の長といわれる所以でしょうか。
しかしながら、アルコールを飲み過ぎてしまうと中性脂肪の合成を促進させてしまいます。すると脂質異常症の原因になったり、LDLコレステロールの小型化を招いたりと、いいことはありません。脂質異常症(高脂血症)は胆石の原因になります。
甘いものとコレステロール
アルコールの多量摂取は身体に悪いイメージがありますが、甘いものは別に大丈夫なのでは!?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、甘いもの(糖分)もコレステロールに密接に関係しています。
中性脂肪を増やすのは揚げ物の油や肉などの脂質だと考えがちですが、実際にはほとんどが糖質とアルコールなのです。
摂り過ぎは良くありませんので見直しが必要ですね。
塩分とコレステロール
塩分の摂り過ぎが体中のコレステロール値を上げるという根拠はないようです。
しかしながら、高血圧であったりと違う病気の原因になりますので、控えめにしたほうが宜しいかと思います。
コーヒーとコレステロール
コーヒーに含まれる「カフェイン」、「クロロゲン酸」には、脂肪分解を促進する効果が期待出来ると言われています。適量であればコーヒーを飲むことは問題ないと考えられます。
胆石症を予防、進行させないようにするためには、規則正しい生活習慣と食事内容が大切だということです。胆石症についてご不安なことがある方はお気軽に当院にご相談ください。