当院で手術を行っている胆石症は、放置するとまれに胆嚢がんが発生することがあります。
胆石は体に保有していても半分以上は無症状と言われていますので注意が必要です。今回はこの胆石症と胆嚢がんの関係について紹介したいと思います。
胆嚢とは?
まず胆嚢についてですが、肝臓と十二指腸をつなぐ胆管の途中にある袋の形状をした臓器です。肝臓から分泌された胆汁が貯まり、食後に十二指腸に胆汁を流し消化をする役割を担っています。
胆嚢がんとは?
胆嚢がんは袋状の胆嚢及び胆嚢管に発生する悪性腫瘍のことです。比較的女性が発症しやすく加齢と共に発症率は高くなっていく癌です。
初期の頃は症状はほぼありません。進行していても、胆嚢がん特有の症状はなく、以下のような症状が見られることが多くあります。
・腹痛
主に上腹部に痛みが現れます。
・黄疸
皮膚や白目が黄色くなったり、尿の色が濃く茶色っぽくなります。
・腹部腫瘍
右上腹部にしこりが発生することがあります。
他の主な癌に比べると発生率は高くはないものの、死亡原因では6位にあげられている病気です。上記のような症状が出た場合には早期に検査をおすすめします。
胆石症との関係
胆石症において胆嚢がんの発生率は1%以下とまれではありますが、胆石症と胆嚢がんには因果関係があります。これは慢性炎症や胆汁成分の変化が原因と考えられています。
この発生率は加齢とともに増加し、高齢者では胆石症患者の数%が胆嚢がんになる可能性があるとも言われています。
ただの胆石と軽く見ずに早期発見、早期治療の心がけが必要かと思います。
他の合併症は?
胆石症の合併症として、膵炎もあげられます。膵炎は膵臓が作り出した消化酵素が何らかの理由で膵臓自体を消化してしまう病気です。急性膵炎の約5割、慢性膵炎の約2割は胆石症が原因です。
胆嚢がんはご紹介した通り症状が出にくく早期発見が難しい癌の一つです。定期的に人間ドックや健康診断をして健康状態をチェックしましょう。また、胆石症や胆嚢ポリープの疑いがある方は早期に治療をすることをおすすめしますので、お気軽にお問い合わせください。