痔の時や手術後の座り方のコツについて
痔の治療法には、薬などで対処する保存的治療と手術を行う外科的治療があります。
手術は、排便毎に脱肛し指で戻している、歩行時にも脱肛してしまう、脱肛したまま元に戻らない、出血量が多く貧血にまで至るなどと重症な痔核に対して行われます。
しかし手術といっても昔とは異なって、日帰りで行えるうえに、さらに手術時間も15~30分程度と短時間で終了しますので、患者さんの苦痛は最小限で済むかと思われます。
術後の後遺症となる痛みもないため、普通に歩行も可能ですし座位をとることもできます。
座る際の注意点としては、長時間の圧迫を避けることが大切です。
手術の当日は激しい運動はもちろんのこと、歩き回るのもよくありませんし、立ちっぱなしも患部がうっ血しやすくなるのでよくありません。
座る動作に抵抗があれば、円座クッションなどを使用するのも良いかと思われます。手術翌日以降からもお仕事から離れられないという場合には、デスクワークでは座っている時間を20分以内に留めて、仕事の合間に立ち上がって患部の除圧を行うことが良いでしょう。
長時間の車の運転も患部の血流が悪くなり悪影響が考えられます。特にバイクや自転車は大きな負担となりますので、できるだけ避けるか、座位の姿勢からこまめに立ち上がるようにしましょう。
妊婦が痔の場合に座り方で気をつけることは?
妊娠中に痔核の痛みや出血の経験があるという方は多く、また出産時のいきみによって痔核の症状が悪化するといったケースもよく聞かれます。
妊娠すると、女性ホルモンの影響で体の血流が悪くなります。骨盤内や下肢に血液が留まることが多くなるため、肛門部にうっ血が生じやすく痔核となります。
また、妊娠初期にはつわりがひどくなるため、妊娠後期ではお腹が重くなってくることから、運動不足にもなりますし、腸の蠕動運動の低下も手伝って、痔核の要因が増えてきます。
妊婦さんの中でお仕事をされながら出産を控える方がいらっしゃると思いますが、デスクワークの方は特に注意が必要です。
座りっぱなしは痔核を悪化させてしまうため、こまめに姿勢を変えて肛門部の除圧を図る、ストレッチなどを取り入れて血行の悪化を防ぐなどの工夫が必要です。
また最近では臀部に優しいクッション類も増えてきていますので、ドーナツ型クッションや、低反発素材ビーズ素材のクッションなどを使用していくことも痔の対策となるでしょう。
痔にならないよう普段から気をつけるべき座り方は?
痔核は肛門周囲のうっ血から始まるものですので、肛門周囲に圧力をかけないことが重要です。
立ちっぱなしは重力に伴って臀部や下肢に血液が溜まりやすくなります。
座りっぱなしはうっ血になり、それに対し下からの圧力が加わってと二重のリスクになりますから、一定間隔で体を動かしたり、座位から立位になったりと長時間の同一姿勢を避けるようにしましょう。