当院では胆石症の手術を行っておりますが、胆石症の合併症で胆嚢がんが発症することがあります。
合併率は数%とわずかではありますが、どのような病気なのかを知っておくことは大切かと思いますので、胆嚢がんについて紹介したいと思います。
胆嚢がんとは
胆嚢や胆嚢管にできる悪性腫瘍を胆嚢がんといいます。 また、胆嚢がん、胆管がん、乳頭部がんをあわせて胆道がんと呼びます。 胆嚢がんは比較的女性に多い病気であり、加齢により発生率は上昇します。統計では70代が最も多いといわれています。
原因は?
考えられる原因の一つに、膵胆管合流異常があります。
胆管と膵管の合流地点に異常がある場合、刺激の強い膵液が胆管に常時逆流し胆嚢に溜まることで胆嚢がんができることがあります。
また、胆管に炎症を起こす原発性硬化性胆管炎という病気は胆嚢がんを合併します。 胆石症の患者様で慢性胆嚢炎の状態が長く続くと胆嚢がんが発生することがあります。
胆石症の胆嚢がん合併率は加齢に伴い増加し、80歳以上では1~2%以上といわれています。
症状は?
胆嚢がんが胆嚢内にあるうちは無症状のことが多いとされています。 検診の腹部超音波(エコー)検査や胆石症による胆嚢摘出術で、偶然発見されることがあるくらいです。 胆嚢がんは進行するにつれて以下のような症状がでてきます。
・腹痛
みぞおちや右脇腹に痛みが出ることがあります。
・嘔吐、体重減少など
・黄疸
がんが進行してくると黄疸の症状が出ることもあります。 自分で自覚することは難しい場合が多く、以下のようなことで発見されることが多いです。
・白色便
胆汁が腸内に流れてこなくなると便の色が白っぽいクリーム色になります。
・黄疸尿
血液中のビリルビン濃度が高くなると、尿の色が茶色っぽく、濃くなります。
・かゆみ
黄疸が出ると皮膚のかゆみも同時にあらわれることがあります。
胆嚢がんの検査
胆嚢がんを見つける際は以下の検査方法があります。
・超音波検査
胆嚢がんの初期の検査として一般的です。
・血液検査
血中のビリルビンやアルカリホスファターゼ(ALP)の数値が高くなり、異常が発見されます。
・CT、MRI検査
超音波検査で胆嚢がよく見えないときや、胆嚢に何らかの異常が疑われるときにCT検査を行います。
・血管造影検査
がんが肝臓の動脈や門脈に広がっていないかどうかを調べる際は血管造影が行われます。
言うまでもありませんが、早期発見・早期治療が非常に大切です。
ご不明な点がありましたら当院にお問い合わせください。