足首からふくらはぎの血管が数珠状にボコボコ浮き出てしまう下肢静脈瘤ですが、どのような治療方法があるのでしょうか?
薬での治療ができないかとご質問いただくことがありますので、それにお答えします。
また、予防できる方法をご紹介したいと思います。
下肢静脈瘤を治療する薬は?
結論から申し上げますと、下肢静脈瘤の「治療薬」というものはありません。
塗り薬も飲み薬も存在しないのが現状です。
足の静脈の弁が壊れたり機能が悪くなったりすることで起きる病気ですので、弁を薬で治すということはできないのです。
漢方やその他の薬で、痛みやこむら返りなどの症状を多少緩和できるとする情報がありますが、いずれにしても根本的な改善には至りません。
下肢静脈瘤の治療方法の種類は?
主には以下の4種類の対処方法があります。
1,保存的治療
生活習慣を見直したり、足を適度に締め付ける弾性ストッキングの着用などで症状を緩和するものです。
長時間の立ち仕事の人は下肢静脈瘤になりやすいなど、生活習慣が影響する病気ですので、できるだけ歩いたり、一定時間同じ姿勢でいないようにしたり、足のマッサージをするなどで症状の緩和を行います。
弾性ストッキングは、足を締めつけてふくらはぎの筋ポンプ作用を助けることによって静脈還流をうながし、足に血液がたまるのを防ぎます。
しかしながら、これらの方法は下肢静脈瘤を根本的に改善する治療方法ではありません。
2,硬化療法
硬化療法は、静脈瘤に薬を注射して固めてしまう治療方法です。
この治療法は軽度の下肢静脈瘤には有効ですが、重度の場合には治療効果がでない場合があります。
3,ストリッピング手術
ストリッピング手術とは、静脈の中に細いワイヤーを差し込んで、静脈を引き抜いてしまう手術です。近年では、内翻式ストリッピング法という、悪くなった静脈のみを少しずつ優しく引き抜く方法ができ、手術後の痛みや出血が軽減されるようになりました。
4,血管内治療
現在の下肢静脈瘤治療の主流がこの血管内治療です。
静脈を引き抜くのではなく、レーザーを使用して内側に熱を加えて焼いて塞いでしまう方法です。
局所麻酔で行えるため、日帰りでの手術も可能であり、体への負担が少なくて済みます。以前は自費診療で数十万円もかかっていましたが、平成23年より健康保険適応となり、患者様の負担が軽くなりました。
下肢静脈瘤の予防方法は?
100%予防できる方法というのはありませんが、以下のことに注意して生活することで、下肢静脈瘤になることを予防又は進行を遅らせることができる可能性はあるかと思います。
・長時間の立ちっぱなしを避ける
・寝るときに少し足を上げて寝る
・塩分や脂肪分の過剰摂取を避ける
・足のマッサージをする(末端から心臓に向かって)
・適度な運動を心がける
少しでも足に違和感があった場合には、無理に自分で対処しようとせずに専門医にご相談いただくことをおすすめいたします。