暑いわけでもなく、激しい運動をしたわけでもないのに多量の汗が出てしまう、そんな症状のことを多汗症といいます。
汗かきと同じように思われがちな症状ですが、運動した時や暑さを感じた時に体温調節として汗を出す温熱性発汗とは異なり、精神的緊張や情動的興奮により過剰な汗が出る精神性発汗です。
普段から多量の汗をかいてしまう病気のため、生活の質が著しく損なわれ、患者様の多くはとても悩まれています。
この多汗症は局所性多汗症と全身性多汗症の二種類があり、それぞれ症状や特徴が異なります。
局所性多汗症とは
局所性多汗症は文字通り局所に多量に汗をかく症状のことをいいます。特定の部分だけに汗が出る症状で患者様の約9割がこの種類だといわれています。
手のひらや足の裏、わき、頭、顔、ひたい、背中などの箇所に汗をかくことが多いというのが特徴で、1ヶ所だけではなく2〜3ヶ所同時に汗をかくケースもあります。
例えば、手のひらの多汗症(手掌多汗症)と足の裏の多汗症(足蹠多汗症)には関係があるとされていて、この2つは同時に発汗しているケースがあり、手掌足蹠多汗症と呼ばれています。
交感神経の反応が過敏な方がなりやすいとされていたり、身体の機能を調節している自律神経の異常などが原因になっている場合もありますが、はっきりとした原因は分かっていません。
全身性多汗症とは
全身性多汗症は胸や背中、お腹にお尻、太ももなど全身に汗がでる症状です。
全身性多汗症は生まれつきの遺伝によって起こるとされていたり、ほかの病気が原因で引き起こされることもあるとされていますが、はっきりとした原因は分かっていません。
全身性多汗症と関係がある病気には次のようなものがあります。
甲状腺機能亢進症
甲状腺の機能が活発になり過ぎることで甲状腺ホルモンが過剰分泌され、全身の代謝が高まることで汗が出やすくなります。
褐色細胞腫
副腎の髄質という部分に腫瘍ができる病気で、アドレナリンが大量に分泌され代謝が高まって、汗をかきやすくなるとされています。
糖尿病
糖尿病の合併症のひとつで糖尿病神経障害というものがあります。これは末梢神経に障害が起こることで、自律神経が乱れ、全身に汗をかきやすくなります。
結核
結核は結核菌に感染することで微熱がでて、その熱を下げるために汗の量が増えます。
自律神経失調症
ストレスや過労が原因によって自律神経が乱れる症状です。症状に個人差はありますが、汗が出やすくなることもあります。
更年期障害
代表的な症状として「体のほてり(ホットフラッシュ)」「大量の汗(スウェッティング)」があげられます。急に身体が火照ったり、多量の汗が吹き出してしまうという特徴があります。